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日産 ティーノ新車試乗記(第57回)

Nissan Tino

1999年01月14日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

サニーをベースに、ワイド、ショート、ハイトの新ミニバンパッケージ

ティーノはワイド、ショート、ハイトという新ミニバンパッケージ「ティーノプロポーション」を提案し、広い室内空間に新しい機能を包み込んだオールマイティなハイトワゴンとして誕生した。ショートボディに高さと幅を生かしたゆとりある空間には、2列シートに6名乗車を可能とした。また、後席は3座それぞれを脱着することのできるリアマルチユースセパレートとしており、目的に応じた多彩なシートアレンジを可能としている。また特にインパネを中心にしたインテリアは斬新なデザインを採用した。

先だって発売された「サニー」に採用された新世代プラットフォームをベースにしており、2.0リッター直4(LEV)または1.8リッター直4(リーンバーン)を搭載。2リッターモデルには電子制御されたハイパーCVTが組み合わせられる。

価格帯&グレード展開

エンジンは2種類、169.7~218.6万円の納得価格

ラインナップ構成は大きく分けて2つある。2.0リッター直4+無段変速機「ハイパーCVT」と1.8リッター直4+4ATだ。装備の違いにより1.8リッターモデルには「X」と「G」、2リッターモデルには「Xe」「X」「G」のほかエアロパーツなどでスポーティーさを演出した「エアロスポーツ」(オーテックジャパン扱い)が用意される。

ボディカラーは全7色で、内装色はボディカラーにより3色が用意される。価格は1.8リッターモデルが169.7~175.7万円、2.0リッターモデルが189.6~218.6万円と、お手ごろな価格。

パッケージング&スタイル

メガーヌを強く意識したハイトワゴン

ベースとなったのは一足先に登場した9代目サニー。そこで投入された新世代プラットフォームの第2弾で、2535mmのホイールベースやサスペンションなどの基本メカを共用する。4270mmの全長は、トヨタの2列シートミニバン「ナディア」よりも155mmも短いのにも関わらず、全幅はセドリック/グロリアなどのラージセダンに匹敵する1760mmとしている。全高は1610mmで、このワイド、ショート、ハイトの独自プロポーションを日産は「ティーノ・プロポーション」と命名。ライバルはとりあえずナディア、RVRということになりそうだが、5ナンバー信仰を全く無視したサイズのティーノは、欧州市場重視で作られ、結果として日本ではライバル不在といういいポジションを獲得した。欧州の2列シートミニバンといえば、ルノーのメガーヌ・セニック(95年秋に本国発売)。わずか15ヶ月という開発期間を考えても、どうやらティーノはセニックを徹底的に研究して作られているようだ。

ウイング形状のグリルは、ヨーロッパにおける日産の新しいアイデンティティではあるが、あまり日本人ウケがするとは思えそうもないデザイン。それでもこのルックスが象徴するウエッジシェイプを強めた塊感あるスタイリングは、日産のチャレンジ精神が伺えるもの。悪くないと思う。

センターメーターではないが斬新さがウリのインテリア

内装も日産のやる気を感じさせられる斬新なデザインを採用している。うねるようなラウンド形状のインパネは、有機的で未来的。開放的という点でも評価できる。質感も高く、特にサハラブラウンと呼ばれる茶系の内装は配色が良く、お洒落だ。面発光ホワイトメーターは、発光塗料を見ているような感じで、今までにない不思議な印象。あまり見やすくはないが、個性的でいい。

1760mmというワイドな全幅を生かし、前シートをベンチシート風の3人掛けとしている。コラムシフト+足踏み式パーキングブレーキの採用で左右のウォークスルーも可能だ。しかし、中央席は盛り上がっており、フロアトンネルもあるし、なにより、大人3人だと幅は窮屈でまともに座ることはできない。やはり子供用もしくは緊急用と割り切るべき。なお、中央席を使わない場合は、背もたれを倒して大きなアームレストとして使えるようになっている。 運転席はしっかりとサポートしてくれる形状となっているので、座り心地は悪くなかった。シート高は腰移動を少なくするために高めの設定となるが、サイドシルの幅が広いので足が長くないと乗降性はあまりよくない。

外せるリアシートだが、長時間の3人掛けはつらそう

ティーノの快挙はフロント3人乗りというだけではなく、メガーヌ・セニック同様の後席3脚が独立して脱着できる点にもある。通常のダブルフォールディングの他、全部外して広大なカーゴスペースとして使えたりとシートアレンジは多彩。実際の所、脱着の頻度はさほど多くはないだろうが、ここまで本格的なアレンジを持つ国産モデルはなかっただけに夢は広がる。ティーノの内装や使い勝手の新鮮さは他を圧倒しているのは確かだろう。

しかし、3脚揃えた時の後席の居住性はかなりつらい。頻繁に使われる両側2席には、目一杯、後ろにスライドしてリクライニングしてもラゲッジの張り出しに干渉してしまい広い後席空間が作れないのだ。窓も接近している。このあたりはセニック同様で、こんなところは真似なくてもいいのに、とそんな気がしてしまう。なお、中央席を外して両側2席を中央に寄せればリクライニングもできるし、快適になるだろう。それでもこの状態で一応、5名乗車は可能なのだから。

基本性能&ドライブフィール

CVTとの相性のいい2リッターモデル、ボディ剛性の高さが実感できる走り

ベースはサニーだが、重量増加によって、エンジンはサニーよりも大きなものが搭載される。搭載されるユニットは2.0リッター直4(135PS/5600rpm、18.2kgm/4800rpm)+無段変速機「ハイパーCVT」と1.8リッター直4(135PS/5600rpm、18.2kgm/4800rpm)+4ATで、どちらも低中回転域でのトルクを重視したセッティングで日常での扱いやすさを考慮している。また両モデルともEBD(電子制御動力配分システム)が標準装備され、2リッターモデルはLEV仕様となる。今回の試乗は2リッターモデル。

可変バルブタイミング機構こそ付かないが、エンジン性能をフルに発揮させることのできるCVTにより、他の2リッターミニバンに負けいない走りを見せてくれる。強い突き上げを感じさせない程度に締まった足回り、高いボディ剛性、しっくりとした手応えのあるハンドリング、どれをとっても不満のないもの。走りの質感が高かったサニーよりも1ランクも2ランクも高いものだ。

加速は全く不満のないもので、ミニバンとしては重心位置が低く、かつワイドボディということで安定感のあるスポーティとも言えるフィーリング。中間加速においても、アクセルを通常のATよりも強く踏む必要こそあるが、スピードの乗りははやくスムーズで、CVTとの相性はいい。4500回転くらいから安っぽくなるエンジン音を除けば騒音は静かな方だ。

CVTをSモードにすると、一種のキックダウン効果も得られ、また通常の倍くらいの回転に保たれる。またこのモードでワインディングを軽く流すと、トルクに乗った、気持ちのいいコーナリングが楽しめる。4速ATだと2速と3速を切り替えながら走るワインディングが、2速ホールドだけでどこまでもいけるという感じだ。ミニバン的な腰の高さはなく、スポーティとはいえないが、ワゴンとしては楽しいワインディング走行ができる。

またさすがにヨーロッパに持って行くだけあって、高速走行はかなりいい。150km/h巡航は不満なし。風切り音も少ない。直進性もいい。これなら4WDはなくても十分。

ここがイイ

21世紀のクルマの理想像ではある。セニック同様、欧州では人気の5ドアハッチバックより、さらに合理的で理想的なパッケージングのクルマとして、これから主流になっていくだろう。5ドアハッチバックがだめな日本でも、これなら受け入れられるような気がする(RVとしてだが)。セダンであることを強調して苦戦するナディアより、ワゴンをイメージするSP展開は正解。

外したシート(16kg)を15000円のマルチキャリアに載せると、座椅子としてご家庭で再利用できます、というのは悪くないと思う。きっと1座は外しっぱなしと言うユーザーが増えると思うから。それと一見アルミに見えるホイールカバーは悪くないです。

ここがダメ

試乗車固有の問題かもしれないが、アイドリング時にステリングに伝わる振動が結構大きいのと、減速時、1400回転ほどになると低周波のこもり音がでるのが気になった。

総合評価

新しい自動車の姿をかなり理想的に考えてあると思う。欧州市場で台数の帳尻が合わせられるため? 5ナンバー幅にこだわらなかったのがいい結果を生んだのだろう。確かに日本では幅が狭い方が便利だが、実際のところ60mmの差でそれほど走行上問題が起きることは少ない。そういう問題が確かにあるという人は、もっと幅の狭いクルマがいくらでもあるわけで、それを選べばよろしい。幅の広さに目くじらを立てる論調はもう止めにしたい。

ただ、これでマニュアルシフトがフロントの床から生えたら、フロント2座になってまんまセニック。あちらはメガーヌを無理してストレッチしてあるので、室内にはちょっと変なところがあるが、独立新設計のティーノにはそれがないとはいえ、あまりにコンセプトがセニックそのものというのは、ちょっと悲しい。世界で初めてこのクルマがでてきたなら98点位かも。もし欧州でもベンチシート、CVTで勝負するのなら拍手!

公式サイトhttp://www.nissan.co.jp/

 
 
 
 
 

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