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日産 セフィーロ新車試乗記(第64回)

Nissan Cefiro



1999年03月05日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

「フルリラックス性能」を目指した世界戦略ラージサルーン

日産の6気筒セダンの中では唯一のFFモデルであり、3ナンバー専用モデル。北米ではインフィニティ・チャンネルでマキシマという名で販売されているのがセフィーロだ。'89年に登場した初代はローレルベース(つまりFRを採用していた)にアバンギャルドなボディを乗せ話題となった。「くう・ねる・あそぶ」のキャッチコピー(今思えば、どの行動にも適してないセダンになぜこんなコピーがついたのでしょう?)や、「お元気ですか」という井上揚水の言葉も記憶に新しいところ。2代目はマキシマとの統合により世界戦略をにらんだFFのモデルとなり、「日産製マークII」などという声もあったが、販売的にはまずまずの成功を収めている。

モデル誕生10周年を迎える今年登場の3代目は、先代で築いた「ワールドワイドなLクラスの実用セダン」というキャラクターを踏襲しつつ、「フルリラックス性能」というコンセプトのもと、あらゆるシーンでいつでも誰もが、気持ちよく感じられる新世代セダンを目指した。エンジンはこれまでの3リッターV6を廃止し、2.5リッターおよび2.0リッターのV6を搭載する。

ちなみに日本版と米国版(現地名マキシマ)とでは、外観スタイルが大きく異なる。この姿でアメリカを走っているのではない。

価格帯&グレード展開

2つのキャラクターを用意、価格帯は207.1万から320.0万円

大きく分けて2つのキャラクターが用意されている。ひとつは主力グレードとなるラグジュアリー志向の「エクシモ」系。もうひとつが、スポーティー志向の「Sツーリング」系だ。こちらは走り性能を重視したスポーツチューンドサスペンションが採用される。外観上の違いは、ヘッドライト回り、グリル、ライセンスプレートフィニッシャーなどで、Sツーリングはリアスポイラーとサイドプロテクターが標準装備される。また、電子制御のダンパーが操縦安定性と乗り心地を高い次元で両立させる「アクティブダンパーサスペンション」が「25エクシモ・Vパッケージ」に装備される。

エンジンは両車とも、2.0リッターV6と2.5リッターV6が搭載され、4ATのほか、2.0リッター車のみに5MTが用意される。

価格帯はエクシモ系が207.1万~320.0万円、Sツーリング系が228.5万~272.0万円。ライバルはトヨタ・アバロンおよびウインダム、ホンダ・インスパイアあたりとなる。

パッケージング&スタイル

デザインテーマは「ドルフィン」、上品さが上手く表現できている

先代よりもホイールベースが50mm延長されるが、基本的にはプラットフォームは先代からのキャリーオーバーで、ボディサイズは全長4785mm×全幅1780mm×全高1440mm。先代比で全長+15mm、全幅+10mm、全高+30mmのとなり、車重も100kg(25エクシモ)増えた。大きなボディサイズはアメリカが主要市場なので納得できるが、車重増加分は装備やボディ剛性向上のことを差し引いても、もう少し控え目にするのがこの時代の流儀なのでは。それでも「イルカ」をイメージしたという曲線型の外観デザインは、なかなか上手くまとまっていると思う。リアがマツダ・ミレーニアにも似てたりするが、上品な個性は表現できている。悪ガキっぽいアクが抜けているのは、従来の日産らしからぬところ(いい意味で)。

ユニバーサルデザインを採用したインテリアは平凡、サニーの拡大版

インテリアは「ユニバーサル・デザイン=誰もが使いやすい意匠」の考え方を取り入れた設計となっている。レバー類の握りが大きく、誰でもが手探りで判断でき、スイッチ類に自然に手が届くといったものだ。

品質にはコストダウンの影はほとんど感じられなく、上級車相応の仕上がりとなっている。ラウンド感を強調した2トーン仕上げのインパネは、デザイン、質感ともにサニーに近いものがある。「ユニバーサル」という響きはいいが、デザイン的にはこれといって取り上げることもない平凡なもの。とりあえずハザードスイッチがキレイだったという印象が残った。

優しい心遣いと大容量のトランクが嬉しい

とはいえオーディオ(カーナビ非装着車)のスイッチは大きく、確かに何も迷うことなく操作できるし、助手席側のカップホルダー(エアコン吹き出し口上部に設置されている)は、前面衝突による安全性の問題こそ残るものの、夏場でも冷えたまま飲めるので重宝するはず。さらにコンソールボックスがポップアップしてアームレストとして使いやすい高さになったり、前席の背もたれにリップベルトを採用して、後席の乗り降りを手ほどきしてくれる。こういったささいな心遣いがユニバーサルデザインなのだ。

ボディが大きいだけに居住空間も期待を裏切らない広さを確保している。圧倒されるほどではないが、ゆったりできる大きさだ。しかし540リッター(VDA式)のトランク容量は注目すべきところ。セルシオ(470リッター)を凌ぎ、恐らくセダンの中ではトップクラス。アバロンのトランク容量でさえ525リッターなのだから、セフィーロのトランクがいかに大きいのか分かってもらえるだろう。分割可倒式のシートバックを倒すとトランクスルーになり、長尺物も入るので使い勝手はかなり良さそうだ。

基本性能&ドライブフィール

直噴2.5リッターエンジンは2リッターエンジンの50万円高

エンジンは2.5リッターおよび2.0リッターのV6エンジンが搭載される。いずれも型式などの基本的構造は先代から踏襲しているが、時代の要請にあった改良が施されている。2.5リッターエンジンは直噴&LEV化され、「NEO-Di」へと進化。結果、最高出力210PS/6400rpm、最大トルク27.0kgm/4400rpmを3リッターに匹敵する力強さを発生しながらも、燃費はクラストップレベルの12.6km/リッターを実現している。一方の2.0リッターエンジンは低燃費型のリーンバーン化が図られ、こちらも「NEO」となり、最高出力160PS/6400rpm、最大トルク20.0kgm/4400rpmを発生。気になる燃費性能は11.6km/リッターと従来型より10%向上しているものの、2.5リッターよりも劣る数値。2.5リッターの方がトルクがある分、アクセル開度は少なくて済むので実用燃費の差はさらに広がるだろう。こうなるとパワーよし、燃費よしの2.5リッターの購入を勧めたくなるが、価格差は約50万円(もちろん2.5が高い)。うーむ、難しい選択だ。

滑らかなエンジンフィールと追従性のいいハンドリング

試乗したのは2.5リッターの「25エクシモ」。軽快で滑らかなエンジンフィールに加えて、高回転域になってもざわめくこともなく、静粛性も優秀だ。ステアリングにはしっかり感があり、ハンドリングだけはスポーティー。大柄な車体に似合わず追従性のいいハンドリングはSツーリングを選ぶ必要がないほど。このあたりは日産らしさがでていて好印象。乗り心地は柔らかすぎず、硬すぎず、悪路の突き上げも上手く吸収されているから不快感もない。すべての乗員が快適に過ごせるだろう。上質な仕上がりは、このクラスのセダンとして合格点を付けられるものだ。

あえて不満点を挙げるとしたら、低回転域でのトルク感がもう少し欲しい。もちろん現段階でも十分なトルクを低回転域から発生しているのだが、アメリカを主要市場としたクルマとして、もう少し余裕あるフラット感が欲しいところ。

ここがイイ

大柄なボディを感じさせない見切りのいいボディデザイン。最小回転半径も5.4mと小さい。すべての作りが上質すぎず、安っぽくなく、ちょうどいい感じ。メーターの文字が大きく、これからの高齢化社会向き。ユニバーサルデザイン=高齢者仕様ということもできそうだ。

ここがダメ

若者(及びクルマ好き)には退屈であること。エクステリアも退屈であること。つまりあまりにごく普通のクルマであるため、クルマ好きにはほとんど興味が見いだせないこと。

総合評価

世の中の半数以上の人はクルマに興味がなく、しかしクルマが必要で、どうせ買うなら、いいクルマ(特に深い意味はない)で、乗って楽なクルマがいいと思っている。そうした人の選択枝に浮かぶのがこのクルマ。

例えば40代、50代の男性で、中間管理職、保守派。下取り車はブルーバード。静かで快適なセフィーロで、可もなく不可もないクルマライフをおくり、また5年後に新しい同じようなセダンに買い換える、というパターンが考えられる。

そのような人には、何ら文句ないクルマであり、思い当たる人はすぐセフィーロに乗り替えるべき。今の不況はこういう人が「7年以上」クルマを買い換えないから続いているというのは暴論だろうか。とはいえ5年たっても今のクルマはあまり古びてこないので、どうしても長く乗ってしまうことになる。銀行に公的資金を投入するくらいなら、5年以上乗ったクルマの買い換え時には、自動車関連の大減税を実施できないだろうか。取得税や重量税、消費税の大幅カットでクルマはずいぶん売れるようになると思う。その点、日産の下取り車走行距離キャンペーンはすばらしい。各社に追随してほしいところだ。

公式サイトhttp://www.nissan.co.jp/

 
 
 
 
 

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