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トヨタ セリカ新車試乗記(第94回)

Toyota Celica

 

1999年10月08日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

1970年、ダルマと呼ばれた初代が登場し、後に当時としては斬新だったリフトバックを追加。代々、前衛的なデザインを採用し、常にトヨタ、いや、日本車デザインの最先端をリードしてきたのがセリカだ。スペシャリティクーペとして人気を堅持する一方で、スポーツ4WDモデルも用意され、WRCで活躍していたことも記憶に新しい。

従来まで4年のスパンでフルチェンジが行われていたセリカだが、新型となる7代目は6年の沈黙を破っての登場となった。ベースは「一応」現行ビスタ。全車、FF駆動方式+1.8リッターエンジンを採用する。時代を一歩どころか数歩抜け出たアグレッシブなデザイン、トヨタ初の可変バルブリフトエンジンの搭載など、近未来を予感させる仕上がりで20代の若者にアピールする。

広報資料には“その開発では「見て、見られて、操って楽しい」をテーマに誰もが気持ちよく乗れ、軽快に走る、「ライトな新感覚GT」の具体化を図っている”と記載されている。

価格帯&グレード展開

価格帯は168万円~226.4万円、ロードスターよりも安い

エンジンはキャラクターの違う1.8リッターエンジンが2種類用意され、それぞれワングレード設定となる。価格はライバルと比較して非常に買い得感のある設定で、実用性を重視した「SS-I」が168万円/175.5万円(MT/AT)。走りに気合いが入った「SS-II」が197万/203.4万円(MT/AT)。これにさらに走りを追求した「スーパーストラットパッケージ」が25万円アップ(ATは23万円アップ)でSS-IIに用意される。

なお、先代まで設定されていたターボ4WDモデルとカブリオレの設定はない。現在、WRCでは欧州カローラがベースとなっているから、今後4WDの登場は期待できないが、セリカはアメリカ市場が中心だけにカブリオレの追加はありそうだ。ちなみに先代はフルチェンジして2年後に追加されている。4WDが必要なくなったことで、FFオンリーで設計でき、このためこの斬新なスタイルが完成したといってもいい。

SS-IとSS-IIの内外装の差はほとんどなく、タイヤが異なるくらい。装備ではSS-IIにサイドマッドガードが標準となる程度だから、29万円の価格差はほぼエンジン性能と考えていいだろう。従って、気張った走りはいらないという人は、迷わずSS-Iとなる。1.8リッタースポーティーカーとしてはかなり割安感のある価格が魅力だ。

ライバルは、5ナンバー回帰で好調のシルビア、1.8リッターで200馬力を誇るインテグラタイプR。というのがトヨタの弁。全くミツビシのFTOは視野に入っていない(それとも完全に忘れられているのか)。

パッケージング&スタイル

ビスタベースの過激スペシャリティカー

プラットフォームは先代がコロナEXIV/カリーナEDをほぼそのまま用いていたわけだが、新型は現行ビスタを用いて、ホイールベースを10mm短縮。先代より+65mmの2600mmとなっている。全長と全幅は逆に先代比-100mm、-15mmでそれぞれ4335mm、1735mm。コンパクト化され、オーバーハングが極端に短い最近のトヨタらしいスタイルとなった。プラットフォームの流用よりデザインが優先だったようで、それにあわせてビスタのプラットフォームを作り替えたということらしい。こうなるとプラットフォーム自体、かなり曖昧な概念になってきた。トヨタにとってプラットフォームの共用とは、その基本構造を同じくするものを使うだけという感じになっている。例えば新型マジェスタはプログレのプラットフォームなのだ。

いずれは見馴れる? 近未来的なデザイン

デザイナーが好き勝手にやらせてもらった、という超前衛的なデザインの案は、アメリカCALTYによるもの。アメリカの今がかなり反映している。

先代も随分大胆だったが、今回はそれよりもはるかに先をいってしまった。シルビアのような分かりやすくスマートなカッコ良さとは対照的に、敢えて崩したようなエグイカッコ良さ。悪くいうなら下品っぽいということになるが、これぐらいでなければ最近の若者にはアピールできないだろう。「やりすぎですねぇ」といったら開発担当者は「すぐ馴れますよ(笑)」とのこと。最近のセリカのユーザーは半分ぐらいが女性ということだが、新型セリカに乗ってる女性は、ちょっと怖い気もする。

とにかく目の醒めるようなデザインで、そのままでも十分、SF映画で通用しそうである。試乗中、街中でも久々に注目を浴びた。

リアはムチッとしており、フロントに比べて大人しい。平凡なウイングは装着しない方がまとまりがいいと思う。 なお、エンジンフードに設けられたエアインテークはエンジンの冷却用として機能している。

2人だけという条件付きなら高い実用性、本格派のスポーツアイテムも装備

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インテリアはカップルのための空間が広がる。シルバー基調のインパネは外観ほどの奇抜さがないが、センターにディスプレイがあるトヨタらしいもの。左右対称デザインで、オーディオやエアコンのスイッチ類は運転席と助手席どちからでも操作しやすい。シート位置は低く、そのくせ頭上空間も拳一個入るか入らないかという狭さ。かなりタイトな室内は、最近の広い室内に慣れたカラダにはスポーティな印象で、かえって新鮮だ。

室内は随所に本格スポーツカーを意識した演出が見られる。メーターはオレンジ照明で、小生意気にも垂直指針を採用。ペダルも穴あきアルミ。ATレバーはガングリップ風となる。また注目に値するのが、ムーンルーフ。外からは外板ボディと同系色でロゴ入りなのに、中からは透けて見える(ロゴも見えない)というマジックミラーのような樹脂ガラスを、国産車としては初めて採用している。

カップルの邪魔にならない程度に備えられた後席は、期待していなかった割には、意外にも十分な広さといった感じ。おまけにしっかりと2名分のカップホルダーも用意されている。リアの乗車定員は先代のように3名ではなく2名となる(先代でも3名まともに座れなかったが)。

荷室は+80リットルの365リットルで、2名分という条件を付ければ贅沢な広さ。後席は5:5で分割可倒できるし、トランクリッドに開閉用ハンドルが付いている(ワゴンと同様の外から開けられる仕掛けだ)から、まず不便と感じることはないだろう。

基本性能&ドライブフィール

キャラクターの異なる2種類の1.8リッターエンジンを用意

先代に設定されていた2リッターおよび2リッターターボは消滅し、今回から1.8リッターのみの設定となり、性格の異なる2種類のユニットが用意される。ひとつはビスタですでに搭載されている1ZZ-FE型で最高出力の発生域を高回転型にチューンしたことにより、最高出力145馬力/6400rpm、最大トルク17.4Kg-m/4200rpmを発生する。どちらかとえば、トルク重視の扱いやすいエンジンだ。

一方、2ZZ-GE型は高回転指向の新開発エンジンで、トヨタがいうところのスポーツツインカム。話題はトヨタ初の可変バルブタイミング&リフト機構となる「VVTL-i」を採用したこと。従来の連続可変バルブタイミングVVT-iに加え、低回転と高回転の2段階でカムが切り替わる可変リフト機構を採用したもの。ホンダのVTEC、日産のVVC(吸気側と排気側ともに採用している)でお馴染みの手法だ。これによってリッター当たり100馬力越えの、最高出力190馬力/6400rpm、最大トルク17.4Kg-m/4200rpmを発生する。パワーウエイトレシオは5.89kg/PSだから、ずば抜けた性能を誇るインテグラ・タイプRの5.50kg/PSに迫る数値だ。2リッターNAのシルビアは140馬力(AT車)で、ハナシにならない。 恐らくこのエンジンは間もなく登場するMR-2の後継モデル、「MR-S」にも搭載されるだろう。

ギアボックスはSS-I(1ZZ-FE型)には4ATと5MT。SS-IIにはステアシフトマチック付きの4ATと、セリカとしては初の6MTが組み合わせられる。

足回りは前がストラット、後ろがビスタの4WDで採用されているダブルウィッシュボーン。なお、FF車の後ろにダブルウィッシュボーンを採用するのはトヨタとしては初だ。タイヤはSS-Iが195/60R15サイズ+ホイールキャップ。SS-IIは205/55R15サイズ+ホイールキャップ。なお、SS-IIには前にはマルチリンクの機能を合わせ持つスーパーストラットも選ぶこともでき、この場合、タイヤは205/50R16サイズ+アルミホイールが組み合わせられる。

試乗したのはSS-IIの4ATモデル。メーター内のATゲージは三菱車と同じように、マニュアルモード以外でも(Dレンジでも)、何速で走っているかが分かるようになっている。

多少騒々しいロードノイズと乾いたエンジン音、やや硬めの乗り心地は、会話に水をさすほどのレベルではなく、走りに興味が無くても許される味付けだ。

エンジン特性の表では、全回転域でトルクがフラットな線を描き、パワーもストレートに右肩上がりという理想的なもの。しかし、実際は、4000回転ぐらいで加給されるような段差がある。もちろん、それとは別に6000回転あたりでカムが切り替わり、さらに噴け上がりは良くなる。3弾ロケット的で良くも悪くもNAらしくない。

ホンダエンジンのように軽々とどこまでも噴け上がるという印象ではなく、エンジンの回転をじっくり味わえる。そのため扱いやすいエンジンだが、スパルタンな印象はない。6000回転~8300回転までの間をフルに使えばカムに乗った走りとなるはずだが、この回転域を公道でキープするのは至難のワザ。ちょっとアクセルを踏みすぎればリミッターが効くし、気を抜けば回転を落としてしまう。1万回転くらいまで許容されればエンジンをフルに回す感じがすると思うのだが。ちなみにこのエンジンはヤマハがかなりかんでる模様。

ステアリングのロック・トゥ・ロックは3回転弱(スーパーストラット装着車はさらに小さくなる)とシャープで、適度な重さもあるので、軽快な回頭性としっかりとした接地感が両立していてなかなか頼もしい。挙動はFFらしく安定しており、ヘタッピでもワインディングを十分に楽しめるだろう。このあたりは、スリル満点のFRとの大きな違いで、おそらく面白くないという意見も出るはずだが、安全にスポーツを楽しむならFF、という開発側の意図がハッキリ示された部分といえそうだ。もちろん、こうした走りこそがスポーツカーではなく「スペシャリティカー」の神髄であることは、いうまでもないだろう。

また130km/hを超えるような高速域では重量の軽さもあってか、あまりドッシリ感がなく、かなり緊張感もあるが、これもこのクルマの性格を表している。あくまで常用域で軽快、かつスポーティ感があることが重視されているのだ。

ここがイイ

クルマはやっぱりカッコ良さだ、と久々に興奮できる挑戦的デザイン。ヘッドライトの造形やウエストのキャラクターライン、短いノーズなど、「トヨタはイッてしまった」という感じ。でもメイン市場となるアメリカで発売されたエクリプスなんかを見てみると、これでもかの国では日本よりまだフツーに見えるのかもしれない。

ここがダメ

後方視界。これはデザイン重視なので諦めがつくところではある。バックカメラが欲しかった。それとドラポジ。ATではまだしも、マニュアルで理想的なポジション(ヨーロッパ車的なしっかりペダルを踏み込めるシート位置)をとろうとすると、ステアリングが近すぎてしまうのだ。逆に腕にあわせてセットすると、ペダルが遠くなってしまう。最近の日本の若者はそんなにアメリカ人体型に近づいているのだろうか?

総合評価

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後席が狭い。走りは本格スポーツカーのようなハイパフォーマンスではない。それでも許されてしまうスペシャリティカーというのは、非常に都合のいい言葉であるわけだが、その分、デザインに関してはよりシビアな評価が下されるわけだ。しかし新型セリカは、このデザインだけで後はどうでもいい、というくらい強烈なインパクトを持っている。ただ、まだ多くの日本の若者にとって理解しにくいデザインであることは確かで、ちょっと勇み足の観もある。しかしヴィッツのように「結局売れてしまう」可能性のあるデザインで、低迷するクーペ市場に喝をいれた画期的な一台といえるだろう。 比較対象となるライバルにしても、実際はシルビア一台だけ。デザインの好みは別として、FRにこだわらなければ、価格的に有利なのはセリカだ。リキみすぎていない走りもユーザーのことをしっかり把握していると思う。

デザインばかりを誉めたが、総合的なバランスもよくとれていると思う。ホンダ車ほど尖りすぎず、日産車ほど偏っていない。クルマの出来としては、トヨタの80点主義(すごくレベルの高い80点だが)に忠実だ。つまり80点の中身を100点(あるいは0点?)の強烈なアウターウェアでくるんだのがセリカだと思う。スペシャリティーカーとしてはまさに王道の作りだ。

 

公式サイトhttp://toyota.jp/

 
 
 
 
 

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