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トヨタ クレスタ新車試乗記(第50回)

Toyota Cresta

 

1998年11月20日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

ビッグマイナーチェンジで久々の月間登録販売台数1万台クリア

マーク2、チェイサー、クレスタの3兄弟はクラウンのひとつ下を支えるトヨタの大黒柱ともいえる国産4ドアサルーンの筆頭。十数年前には常に月1万台以上も販売し、ハイソカーブームの立て役者とも呼ばれていた超人気モデルも、最近でRVの代頭により販売面で苦戦している。が、それでも常時4000~6000台(好調の新型レガシィとほぼ同じ数値)の販売実績をキープしているのだからちょっと驚きだ。さらには8月に行われたビッグマイナーチェンジ直後には久々に月間1万台を超える新車登録販売台数を記録している。

新搭載の2リッター直6はアルテッツァと同じ

今回のマイナーチェンジでは、大幅なデザイン変更が施されたと同時に、新しい2リッターエンジンが搭載されている。BEAMS化された1G-FE型がそれだ。このエンジン、何を隠そう、あの話題騒然の「アルテッツァ」の6気筒モデルと同じものなのだ。そうとなれば、このクルマを乗らないわけにはいかない。といわけで、今回は3兄弟中唯一のセダン(マーク2とチェイサーはサッシュレスのハードトップ)、クレスタの1G-FEエンジン搭載車を試乗してみた(ちなみに気になるアルテッツァは次々週の予定です)。

価格帯&グレード展開

価格帯は233~349.6万円、より充実したラインナップ

スポーツ志向のツアラー系(クレスタはスーパールーセント)、ラグジュアリー志向のグランデ系(チェイサーはアバンテ、クレスタはルラーン)と、2つのグレードに大別される。ツアラー系には2.5リッター直6のターボとNA、2.0リッター直6の3タイプのエンジンが用意される。グランデ系は3.0リッター直6、2.5リッター直6、2.0リッター直6、2.4リッター直4ディーゼルの4タイプとなる。搭載されるミッションは基本的に4ATだが、2.5リッター直6NAのツアラーSにはインテリジェント5ATが搭載され、2.5リッター直6ターボのツアラーGなどの一部グレードではなんと5MTも選択できる。このほか、従来の3リッター、2.5リッターに加え2リッターガソリン車にも4WDモデルを追加設定するなど、ラインナップの充実が図られている。

パッケージング&スタイル

マイナーチェンジにおける内外装の変更点

今回のマイナーチェンジでは内外装のちょっとした手直しではなく、エンジン&パワートレインまで大幅に変更が加えられている。ざっとそのチェンジぶりを上げてみよう。

まず、フロントグリルやバンパーのデザインを変更し、豪華さや精悍さが向上した。リア回りはトランクリッドのプレス形状まで変更し、それぞれの個性を明確化している。GOAボディもサイド部の剛性を見直している点が見逃せない。各車の特徴を上げると、マーク2ではテールランプの間にガーニッシュを設け、ランプとの一体感を表現。従来の昆虫の目のような光かたをするのは相変わらずだが、マーク2らしい高級感は取り戻している。クレスタはグリルを大きくし、テールランプをトランクリッドまで拡大配置させ、見栄えが格段に良くなった。チェイサーもバンパーなどの大幅なデザイン変更が図られているが、3兄弟中最も変わり映えのしないものとなっている。

photo_3.jpg内装を見てみると、グランデ系では木目調パネルの木目柄が変更され、設定部分が拡大されている。また、コンソールボックスの蓋部分の表皮が変えられているのをはじめ、コンソールボックス前部のジャバラ状リッドにまで起毛仕立ての表皮が施される。平凡なデザインはともかくとして、もはやクラウンと大差のない隅々まで手のゆきとどいた品質には、改めて敬服してしまう。

一方、ツアラー&ルラーン系の内装は、内装色がブラックに統一され、3本スポークステアリングやメーター照明をアンバー色に変更するなど、よりスポーティーな味わいを深めているのが特徴だ。なお、全長4760mm×全幅1755mm×全高1420mm(クレスタ)のボディサイズに変更はない。

基本性能&ドライブフィール

古い1G-FE型(2リッター直6)がBEAMS化により、パワーアップ

今回試乗したクレスタの2.0エクシードに搭載されるのは、従来からクラウンに搭載されている1G-FE型(基本的には古いユニット! )と呼ばれるものだが、吸気側可変バルブタイミング機構VVT-iの採用をはじめ、エンジンブロックとシリンダー以外のほとんどを新設計するほどの大がかりな改良が施されている。BEAMSの称号を得たこの1G-FE型は、最高出力160馬力(従来型140馬力)、最大トルク20.4kgm(従来型18.4kgm)を達成。

何より興味深いのは、このエンジンがFRスポーツセダン「アルテッツァ」にそのまま搭載され、スペックも全く同じになっているというところだ。でもアルテッツァの主力はこのエンジンではなく、210馬力の3S-GE型(2リッター直4)ということはお忘れなく。

意外に好印象、でもソフトすぎるタッチが魅力を半減

このクラスの2リッターNAというのは、発進時や追い越し加速でややトルク不足に悩まされるものだが、このクレスタは強烈とまでいかないものの、低回転域できっちりとトルクを出し、実用上まったくストレスを感じさせない仕上がりとなっている。全開加速すれば、タコメーターの針は6気筒ならではの滑らかさで、スポーツツイカム顔負けのキレをみせる。高回転までスムーズさを失うことなく、パワーの上昇感が体感できるのも嬉しい。正直、乗る前までほとんど何の期待もしていなかったのだが、乗ってみて、こりゃ、シルキー6のBMWに匹敵するのでは? というほどに好印象。10・15モード燃費でも11.6km/リットルとクラストップレベルの低燃費性まで実現している。実際、160kmほどの試乗ではリッター10km以上伸び、大変驚いた。高級サルーンのスタンダードモデルとして最も高いレベルに仕上がっているといっても過言ではないだろう。

柔らかすぎる乗り心地は?マーク、これもターゲットユーザーへの配慮?

ただ、柔らかい足まわりと軽いパワステは、この出来のいいエンジンフィールの魅力を半減している。運転していて、ちっとも刺激が伝わってこないし、面白くない。さらに悪いことに、軽いワインディングを数分ながした後には、後席に同乗した子供が、車酔いする始末(生まれて10年、クルマに酔うことなどなかったのに)。ま、このクルマのターゲットユーザーは、硬いよりはこの位柔らかいほうが、何となく優雅で高級なイメージが根付いているのだろう。先代のマーク2ではかなりしっかりした足だった印象があるが、ユーザーには受けなかったのだろう。それでも静粛性に関しては大したもので、高回転ではややうるさくなるものの、ばたついたエンジン音ではないし、遮音性に関してもさすがトヨタ、何の不満もなし。高速ツーリングもこれまた何の不満もなし。時速150kmくらいなら、静かで、素晴らしい直進性のFRクルージングが楽しめます。

2.5リッターNAのツアラーS&ルラーンSへの5速AT採用

1JZ-GE(2.5リッター直6NA)、2JZ-GE(3.0リッター直6)においても電子制御スロットルを搭載し、一段とスムーズで安定した走りを実現。またツアラーS&ルラーンSに、クラウン3.0ロイヤルツーリングと同じゲート式のスーパーインテリジェント5ATを搭載した。ギアレシオ全体がクロス化されるので、エンジン性能をより効果的に引き出すことには効果的。ただ、ステアマチックのマニュアルモードは付かない。ハリアーやビスタにもあるくらいなのだから、走り志向のツアラー&ルラーン系に付いていてもおかしくないと思うのだが。

ここがイイ

トヨタはセダンイノベーションと銘打って、セダンに力をかなり注いでいる。商売としてはRVをどんどん開発し、売っていくが、やがてクルマはセダンに回帰するはずという展望を持っているようだ。ここがイイところ。ホンダはそこがヤバイところではないだろうか。現実にマーク2シリーズは売れているわけで、このクルマに乗ったクルマに興味のないお父さんは、まず不満のひとつも言わないと思う。後席だってそんなに狭くないし、高級感、安心感、そして、FRという保守感(こんな言葉はないけど)に酔いしれるだろう。

ここがダメ

お父さんは酔いしれているが、子供は酔ってしまった。生まれてからずっとRVに乗り続けてきた子供は、後席の閉塞感とフワフワとした妙な高級感、そして新車の臭いにやられてしまった。そろそろRVを卒業して高級セダンにゆったり乗りたいというお父さんも多いはずだが、意外にこの辺りがウィークポイントかも。

総合評価

photo_2.jpg80点主義のトヨタ車に戻ったかのような見事な仕上がり。とにかく誰も文句の付けようがない反面、誰もおそらく誉めようともしないはず。日本の40代、50代の小銭があってクルマにこだわらない人、そしてトヨタ関係者などが5年を共に過ごす、充実した人生の友といえるでしょう。実際クルマはコレでいいんです。鼻持ちならないステイタス意識で輸入車を買う人より、ずっと健全です。とはいえ向こう三軒両隣、どの家もマーク2という不気味な世界はちょっとイヤですが。

 

公式サイトhttp://toyota.jp/

 
 
 
 
 

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