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ホンダ ラグレイト新車試乗記(第81回)

Honda Lagreat



1999年07月02日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

ラグレイトは昨秋にアメリカで売り出された米国版ビッグオデッセイを右ハンドル仕様に改めた輸入モデル。ホンダのカナダ工場で生産され、ホンダ・クリエイティブ・ムーバーのフラッグシップとして国内投入された。アメリカでは絶大なシェアを誇る元祖ミニバンのボイジャーでさえ、舌を巻くほどの人気を博しているという。

「プレミアムライフ・ビークル」の具現化をコンセプトとし、全長5m越え、全幅1.9m越えのフルサイズをいかして、従来の国産ミニバンとは一線を画す余裕の室内を実現している。新開発の3.5リッターV6VTECエンジンを搭載し、7人乗車時でも動力的にも余裕あるものとしている。また、後部の両側スライドドアに電動開閉式の「デュアル・パワースライドドア」を全車標準装備するなど、リッチな装備も満載。

価格帯&グレード展開

巨体、豪華な装備で366万円~396万円

グレード構成は「ラグレイト」と「ラグレイトエクスクルーシブ」の2タイプのみ。標準仕様が366万円で、本革シートや木目調パネルなどの上級装備の「エクスクルーシブ」が396万円だ。3.3リッターV6・OHV(160PS/28.0kgm)という古典的なエンジンを持つボイジャー(ロングホイールベース)が399万円であることを考えると割安なプライスだ。さらにラグレイトは電動開閉式スライドドア、EBD(電子制御制動力配分システム)そして極め付きのDVDナビまでが標準装備。ミニバンのフラッグシップ、そしてホンダ高級車のフラッグシップでもあると思えばさらに魅力を感じる。

なお、オデッセイはホンダ系の全チャンネルで販売されているが、ラグレイトはクリオ店が扱う。

パッケージング&スタイル

日本ではデカバン、アメリカではミニバン

オデッセイのベースが旧型アコードというのは有名なハナシ。じゃあ、さらに車格が上であるこのUSオデッセイ=ラグレイトのベースはレジェンドか、と思ってしまうが、プラットフォームは新設計。ボディサイズは全長5150mm×全幅1935mm×全高1740mm、ホイールベース3000mm。日本の路上で決して小さいとはいえないオデッセイと比較しても同+265mm、+145mm、+100mm、+170mmと、確実にふた回りはデカイ。これは国産ミニバンでは最大級の数値。むろん有史以来ホンダ車最大だ。デザインの面でも実に潔いというか、とにかくスケールの大きさを主張しており、角を絞り込むというこざかしい技法もない。これが本国アメリカではごく一般的な”ミニ”バンなのだから、感心というべきか驚きというべきか。

大味で、幅広い室内はいかにも大陸的

全長はオデッセイよりも265mm大きくなっているが、室内長は残念ながら全く同じだ。一方、全幅は+145mmなのだが室内幅は+215mmも拡大されている。横方向のゆとりが、オデッセイとは比較にならない広さを感じさせる。

3列シートは2-2-3の7人乗り。アメリカンサイズの全幅の恩恵は、2列目シートだけでなくちょっと足元のせまい3列目シートでも十二分に感じ取ることができる。オデッセイの窮屈感がないのだ。またコラムシフト+フラットフロアによりウォークスルーはスリムな人に限らず楽々歩ける。

3列目シートの仕掛けはオデッセイ譲りで、ラゲッジスペースの床下への収納、90度後方反転してのオープンベンチベンチシートが可能だ。加えてラグレイトは2列目シートが脱着式となる。取り外し方は驚くほど簡単だが、シートの重さは23kg前後。女性が1人で持ち上げるにはちょっとばかり無理があるだろう。これらの作業で、2/3列目シートをなくしたときの最大荷室スペースは、長さ2530mm×1220mm×高さ1240mmとなる。この巨大空間はちょっとわくわくするスペースだ。

なおこの広さの秘訣は、オデッセイではサードシート横に在ったスペアタイヤがボディ中央床下に移動しているため。これだけのことで、オデッセイの不満は一気に吹っ飛んだ。

電動ドアと革のシートは分かりやすい高級感に満ちている

photo_3.jpgインパネはオーソドックスなデザインで、小物入れは少ない。一応、本革シート、木目調パネル(ともにエクスクルーシブに標準)が装備されるが、フラッグシップの肩書きを持つわりには、高級感の演出は今一歩。そんな不満を解消してくれるのが、いかにもVIPな装備の数々。その筆頭が後部ドアの「デュアルパワースライドドア」。インパネのスイッチ・キーレススイッチ・ドアノブ操作で、ドアが自動開閉するというマイクロバスさながらのシロモノ。ほとんどの人がこの電動ドアでの前で、感動に打ち震えるはず。またスウィング式のクオーターウインドウも電動式で換気には重宝する。でも後部ドアウインドウは開かない。ちなみにオデッセイはこれと逆となっている。

基本性能&ドライブフィール

さすがにパワフルとは言い難いが、過不足なく走る

搭載されるエンジンは最高出力210PS/5200rpm、最大トルク30.2kgm/4300rpmを発生する3.5リッターV6SOHC・VTEC。インスパイア/セイバーに搭載されるエンジンをボアとストロークを拡大したものだが、嬉しいことに指定燃料がレギュラー仕様となっている。これに4ATが組み合わせられる。足回りはオデッセイの前後ダブルウィッシュボーン式と違い、前はスペース効率に優れる新設計マクファーソンストラット式を採用。後ろはダブルウィッシュボーンと形式は同じだが、床下を低く抑えられるように大幅改良されている。パワステには新型アコードのEPSではなくベーシックな油圧式が採用されている。

エンジンフィール、ステアリングフィール、静粛性、どれをとっても素晴らしく滑らかで、走り始めた瞬間から高級感が伝わってくるものだ。特にエンジンの騒音、振動の低さはため息がでるほどに高いレベルにある。さらに誇るべきは取り回し性の良さ。回転最小半径が5.7mと、オデッセイと全く同じ。ライバルのボイジャーは6.1mある。とはいえどもこのサイズ。タウンユースでの走りが中心だった今回の試乗では気疲れしてしまった、というのが正直な気持ちだ。やっぱり街中ではもう少し小さい方が楽。オラオラ、というベンツ走りをするにはちょっと大人しいし。確かにデカイクルマではあるが、一見オデッセイとさほど違って見えず、外観から迫力は感じられない(それがいいことなのだが)。

ラグレイトの車両重量は1920kgもあり、さすがにアクセルを踏んだ直後の加速感は重さを感じるものがある。またアクセルを深く踏むとちょっと前のホンダ車のようなトルクステアもある。その後3000回転以上になると、急に軽くなったような加速感が伝わってくる。さすがにホンダ車といえどもこのエンジン、高回転を楽しむタイプではない。低回転からモリモリと力を感じるとは言いがたいが、十分な動力性能であり、このクラスでは軽快で速い部類に入る。ただ、速度を上げるにつれて、高周波ロードノイズ、段差を乗り越えた後のフニャフニャ・フワフワした乗り心地、高速カーブでどこまでハンドルをきっていいのか分からないダルなハンドリングといった要素が目立ち始めてくる。これは装着していたオールシーズンタイヤによるものが大きいように思われた。タイヤを替えればかなり良くなるだろう。高速巡航では120km/hくらいまでが快適。もちろんまだまだ出るのだが、そうとばす気になれない。このあたりも100km/h巡航が一般的なアメリカの事情にあったものだ。

ここがイイ

左右両側にありしかも電動で動くスライドドアは大変素晴らしい装備。実際のところ、スライドドアはヒンジドアよりずっと便利なのだが、子供やお年寄りには実に使いにくいものだった。が、これで全て解消だ。また夏期に乗り込む際の室内換気にも便利。リモコンで左右のドアを開けば、熱気は一気に換気できる。しかし左右のスライドドアはいままでなかったのが不思議。どんなケースでも左右にある方が圧倒的に便利なのは自明の理。ボディが共通なので輸出用にステアリングを左右つけかえるのにも便利だし。これからのミニバンには左右スライドドアの標準化が進むはずだ。

ここがダメ

全体的には、日本車というよりアメリカ車的な、良くいえばおおらかな、悪く言えば雑な印象がある。見本車特有のきめ細やかな作り込みとか、バブル期のようないかにもという高級感とかはあまり感じられない。輸入住宅のようなクルマといったら分かってもらえるだろうか。それはそれで使い勝手はいいのだが。ボイジャーなどと印象としては近いものがある。

総合評価

photo_2.jpg4人家族なら2列目シートを取り外して家庭で使い、3列目シートをメインに使うと様々なシーンで活躍しそう。サードシートをしまい込みフラットな床にマットを敷けば、快適な車内泊もできそうだ。このパッケージングは素晴らしいので、できればカーナビなどの装備を徹底的に省いた改造ベース用の廉価版が欲しいところ。テーブルなどをセットして、動くオフィスが作れそうだ。

公式サイト http://www.honda.co.jp/LAGREAT/2004/index.html

 
 
 
 
 

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