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ホンダ セイバー 25V新車試乗記(第49回)

Honda Saber 25V

(2.5L・V6・4AT・263万5000円)



1998年11月13日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

アメリカ生まれのツーリング・ラグジュアリー

アコードの上級車種として1989年に登場し、今回のフルモデルチェンジで3代目となったインスパイアとその兄弟車のセイバー。初代は直列5気筒・縦置きFFミッドシップだったが、今回から一般的なV6横置きFF車となっている。

本国名アキュラTL、日本名インスパイア / セイバーは「ホンダR&Dアメリカズ(Honda R&D Americas, Inc)」で開発。生産はそこに隣接するホンダ・オブ・アメリカ マニュファクチャリングで行われる。いわば、純アメリカ車であり、2代目アコードワゴンに継ぐ輸入車扱いとなる。

価格帯&グレード展開

2.5リッターと3.2リッターで、3グレード展開

3.2リッターV6を搭載する「32V」(323.5万円)と、2.5リッターV6を搭載する「25V」(263.5万円)、それにナビを標準装備した「25V・NAVI」(289.5万円)の3グレード。ミッションは4ATのみとなる。いずれもほぼフル装備状態で、「32V」には本革シートとナビが標準装備されている。

なお、インスパイアとセイバーの装備や価格帯はまったく同じ。フロントグリル、リアのターンシグナルレンズ、アルミホイールといった外観上のデザインが多少異なる。販売はインスパイアがクリオ店、セイバーがベルノ店となる。

パッケージング&スタイル

アメリカを拠点とした開発と生産

ホンダはひとつのプラットフォームをもとに各国で最適なサイジングを施すことができる「ミッドサイズ・グローバルプラットフォーム」を現行アコードで発表したが、新型インスパイア/セイバーは日本仕様のアコードよりもワイドな米国版アコードのものが用いられている。

全長4840mm、全幅1785mm、全高1420mmというボディサイズ。長さは先代とほぼ同じだが、ホイールベースは95mmも短縮。しかし、縦置きエンジンをフロントミッドシップ(エンジン中心を前輪軸より後方に搭載したレイアウト)とした先代に比べて、新型は前輪前方にV6を横置きしているので、キャビンスペース自体は広くなっている。キャビンフォワードを強めた新型のスタイルは、Aピラーが極端に寝ており、デザイン重視ともいえるもの。実に伸びやかで堂々としており、大陸的な風格を漂わせている。ただ一昔前なら「かっこいい」と賞賛されるかもしれないが、若い人からは「今さらなんでこのカタチ?」そんな声も聞こえてきそうだ。スタイルは好みの問題だが、購入層となる中高年には分かりやすいスタイルではある。

アコード風のインパネ。ボディサイズの割には狭い室内

photo_3.jpg3眼独立風メーターのインパネデザインは現行アコードに近いもので、パーソナル感が強い。木目の配し方が工夫されており、競合他車とは明らかに違う高級感がある。運転席には電動シート、Bose社製の別置きパワーアンプ+100Wウーハー+4スピーカー(CD&カセット付きヘッドユニットはアルパイン製)が標準装備となるほか、「32V」には本革インテリアとナビが付く。

スタイルを見て分かるとおり、インテリアは特に広くない。特に後席は、ニースペースこそ十分あるが、頭上真上にリアウインドウが接近しており、直射日光が気になりそうだ。アメリカでこのクラスを買う人は後席空間を求めていないのだろうか?

シートは比較的、大柄でクッションの柔らかいものを採用。ヒップポイントが低さがスポーティだが、乗降性はあまり良くない。32Vの本革シートはアメリカ車らしいルーズフィットで、いかにも、というもの。見た目のクオリティに関しては、何も心配の要らない仕上がりだ。ダッシュのシボ加工といい、パネルの繋ぎ目といい、上質感を求める人にとっても十分満足いくレベルに達している。

基本性能&ドライブフィール

レッドゾーンまで続くパワー感、優れた静粛性

エンジンは3.2リッターV6(225ps/30.0kg-m)と2.5リッターV6(200ps/24.5kg-m)の2種類。どちらもSOHC・VTECとなる。先代(2代目)に途中から追加された「32V」はバンク角90度のレジェンド用3.2リッターV6(210ps、30.0kg-m)を積んでいたが、今回の新型V6は軽量コンパクトなバンク角60度を採用。4ATはジグザグゲート式の7ポジションに、マニュアル気分でギア操作が楽しめるSマチック付き。試乗したのは2.5リッターV6の「25V」だ。

6800回転のレブリミットまで一気に回るあたりは、いかにもホンダ車らしいところ。高回転でもエンジン音がうるさくならない点も同様だ。遮音も入念で、非常に静かなクルージングが望める。優雅なドライブのお伴にBoseサウンドシステムが活躍することは言うまでもないだろう。

一方で、発進加速そのものはスムーズだが、アクセルペダルの踏み始めが敏感で、思ったよりも加速が急になる傾向にある。低回転域のトルクもややもの足りず、どうしてもエンジンを回す走り方になってしまう。上級セダンという性格を考えれば、もう少し穏やかさが欲しいところだ。

ノーズの重さを感じさせない正確なステアリング

締まった足まわりは、飛ばして行くほどにスポーティな走りを可能としている。一般道で荒れた路面を走っていても激しい突き上げやボディの弱さを感じさせることはない。ボディは曲げ剛性を80%、ねじり剛性を70%アップさせるなど、かなり強化しており、操縦性にも貢献している。ステアリング操作に対する正確な応答性は、ノーズの重さを感じさせないものだ。高速コーナー時の安定性は抜群によく、かなりの横Gになっても、ボディがヨレることなく、最後までタイヤが路面をとらえる。適度なロール感も好ましい。それにマニュアルモードでは、レッドゾーンに達しても勝手にシフトしないので、存分にワインディングを楽しむことができる。ただ、ホンダらしいスポーツセダンとするのなら5速ATが欲しくなる。高速でのフィーリングは悪くはないが、矢のような直進性があるとはいいがたい。もちろんそれは最高速域での話だが。

ここがイイ

アッパーセダン(というか、コレは昔でいうところの4ドアハードトップでしょう)として、この手のクルマが欲しくなるRV卒業生には、ひとまず文句のないクルマだろう。特にワインディングでは素晴らしい粘り腰で、楽しく、安全にスポーティな走りが味わえる。価格もほどほどだし、装備は満載だし、ホンダだし、アメリカ製だし、稀少車?だしと、所有するための理由は幾つもある。

ここがダメ

ちょっと古典的というか、ステレオタイプな高級車感が残念。ホンダには、どこか斬新な高級車像を打ち出してもらいたいところ。このクルマはアメリカの部長さん向けのクルマを輸入したということで仕方ないかもしれないが、レジェンドの不調が示すとおり、当たり前の高級車ではこの先ちょっと無理がある。日本専用でもいいのでホンダらしい高級感の提案に期待したいところ。

革とウッドのコンビステアリング。滑り係数の違う素材を組み合わせてあるので、大変扱いにくい。

総合評価

photo_2.jpg全体としてとても良くできた高級スポーティセダンだ。ただ、販売店対策とはいえインスパイアとセイバーという、共に知名度の低いネーミングはどうなのだろうか。いろんな問題はあるだろうが、輸入車なのだから「アキュラ」を名乗り、さらにアメリカらしさを強調したら、結構インパクトがあったのではないかと思う。

公式サイト http://www.honda.co.jp/SABER/

 
 
 
 
 

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