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スズキ ワゴンR プラス新車試乗記(第80回)

Suzuki Wagon R Plus

 

1999年06月25日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

ワゴンR譲りのパッケージングを世界に問うベーシックカー

ワゴンRのリッターカー版であるワゴンRワイドは、輸出名「ワゴンRプラス」としてヨーロッパで高い評価を得ている世界戦略モデル。日本でも今回のモデルチェンジを機に全世界での名称を統一することになった。

ワゴンRプラスは新規格ワゴンRをベースに、1リッターエンジンを搭載。欧州テイストの斬新なデザイン、乗る人を最優先したパッケージング、RV車らしい多彩なシートアレンジ、優れた安全性など、先代で築いた「背の高いコンパクトワゴン」というコンセプトをさらに熟成した。

またこのワゴンRプラスは、GMとの共同開発車のベースにもなるのだという。”対ヴィッツ”、”GMの欧州戦略車”そんな裏舞台があることを聞くと、このクルマの重要性が見えてくる。なお、輸出用は当面、ワゴンRワイドが継続される模様。

価格帯&グレード展開

ワゴンRの欠点を全て解消

1リッターのNAとターボがあり、それぞれに2WDと4WDが用意され、ギアボックスも全車コラムシフト4ATとなる。NAは装備の違いによる3グレードで、価格は117万8000円~143万5000円。ターボは1グレードのみで、140万8000~150万5000円となる。

ライバルはサイズ的にはヴィッツ、ストーリア、キューブ、デミオ、トッポBJワイドなどが挙がるが、価格的にワゴンRプラスはこれらよりも10万円以上高く、ひとクラス上のキャパやディンゴとバッティングする。スズキとしては、価格を下げると、軽自動車のワゴンRとバッティングしてしまうため、やむ得ない処置だったのだろう。確かにワゴンRプラスの魅力は価格相応のものがあると思うが、このクラスはやはり安さも大切な要素。販売面ではちょっと苦しい部分も。

パッケージング&スタイル

ワゴンRのコンセプトを踏襲するも、ほとんどがオリジナル

ボディサイズは全長3510mm×全幅1620mm×全高1660mm。ワゴンR比では全長+115mm、全幅+145mm、ホイールベースは同じで2360mm。日産キューブに近いボディサイズだ。

新規格ワゴンRがベースといっても、先代ワゴンRワイドのように軽自動車からの共用部品は多用されていない。新型はドアミラーとドアミラー以外は完全な新設計だ。基本的なデザインコンセプトはワゴンRを踏襲しているが、ワゴンRのボクシーフォルムに対して、ワゴンRプラスは張りのあるラウンドフォルムが特徴。世界で通用するデザインを目指している。先代のような間延び感は全くなく、大人びた雰囲気がある。

窮屈感とは無縁の空間。質感も高い

photo_3.jpgコラムシフト、足踏み式パーキングブレーキ、アームレスト付きベンチシート、+125mmの室内幅などの相乗効果により、窮屈感とは全く無縁の空間だ。後席は3人掛けが可能となっている(ワゴンRは当然2人)。

インパネ下部をすべて収納スペースにしたところは一見、ワゴンRと同じだが、実際はステアリングと各種スイッチ以外は専用品。ハザードスイッチがステアリングコラム上からセンターパネルに移されるなど、細かな改善もある。シートは大型化されており、ベンチタイプとはいえサポート性を持たせているので、座り心地はたいへん良い。シートの感触、インパネの質感、どれをとっても確実にワゴンRよりも上質になっている。

5人乗車、RV色の濃い室内空間

使い勝手の良いワゴンRの“例の”シートアレンジはそのまま採用。居住空間、質感に関してはヴィッツと互角といったところだが、RV色の濃さは間違いなくワゴンRプラスだ。加えてワゴンRではオプションのデュアルエアバッグ、ABSも全車標準となっている。限りなくパーフェクトに近い仕上がりは、リッターカーということを忘れさせるほど。

基本性能&ドライブフィール

全車VVT・LEV仕様、ターボ版はリッター100馬力

エンジンは先代と同じオールアルミ製1.0リッター直4で、これにVVT(バリアブル・バルブ・タイミング)機構を追加。低中速域のトルク向上、燃費性能の向上(NAの2WDで18.6km/L)、そしてLEVに対応となった。ガソリンタンク容量が41リッターにアップしているので、航続距離が延びたことも朗報だ。最高出力70ps/7000rpm、最大トルク9.7kg-m/4500rpmのNA版のほか、インタークーラー付きターボも用意されており、こちらは最高出力100ps/6500rpm、最大トルク12.4kg-m/3000rpmを発生する。ギアボックスは4ATのみで、ワゴンRにあるCVTの設定はない。なお、足回りはワゴンRのものを専用チューンしたものとなる。

速いし、広いし、なんだかとてもいい

試乗したのはターボ。軽快で、速いというのが第一印象だ。ただし、アクセルを踏み込むと、2500回転ぐらいから急にパワーが盛り上がるターボの癖はある。さらにそこからシフトダウンし、計2回の段つき加速となるため、落ち着き感はいま一つ。それでも個人的には許せる範囲であり、アンダーパワーで不満を覚えるよりはマシだろう。低速トルクもあり、ターボを効かせなくてもトロトロ走れる。

パワステはワゴンRと同じ電動式となっており、低速では軽く、速度を上げるにつれてしっとりと重みを増す設定だ。軽い力で滑らかに回せるのでタウンユースでは良好だ。しかし、曖昧な中立付近と深く切り込むと重くなる設定は、緊急回避の時を考えると疑問が残る。電動パワステにはまだまだ改善の余地がありそうだ。

乗り心地はヴィッツには遠く及ばないものの、このクラスとしては十分に合格点を与えられる。上質なヴィッツ、活発なワゴンRプラスといったところか。静粛性もまずまずで、100km/hでも見かけによらず風切り音が小さい。ただしそれ以上では、かなりうるさくなる。高速巡航は140kmでもOK。ということは、法定速度プラスアルファでは実に快適ということだ。このサイズでも長距離が余裕で楽しめる。

コーナーでも腰の高さを感じさせず、しっかり踏ん張る。トレッドを広げたことが幸いしているのだろう。これまた、限界走行でもしない限り、ほとんど文句はないだろう。軽での不満はことごとく解消されている。

ここがイイ

小さいクルマとしてのパッケージングはベスト。ただし、2人で乗ることが条件だが。リアシートはワンタッチでフラットな荷室になるし、助手席はシートバックが折りたため、長尺物の搭載も可能。背はテーブルになるし、もちろん座席下の巨大なバケツも健在だ。小物はあちこちに置きまくれるし、ベンチシートはゆったりと心地イイ。内装の質感も、はっきりいってヴィッツより上。素材にプロテインを含むというインテリア塗装で、しっとり感がでている。ボディの剛性感もあるし、何よりスタイル、カッコイイです。

ここがダメ

ターボは良く走るが、やはり唐突な感は否めない。先代よりトルクアップしたNAを試乗してみたいところ。運転席カップホルダーにペットボトルが入らなかったことと、助手席にカップホルダーそのものがないのはなんとかして欲しい。

リアの狭さはコンセプト的にダメとは言いづらいが、確かに狭い。室内長はワゴンRよりも15mmしか伸びておらず、膝元空間が拳1個分あるかないかにとどまっている。スライド機構をつけるなどの工夫が欲しいが、折り畳み下方スライド機構との折り合いが難しいのだろう。またリクライニングのレバーがシートバックの後ろにあるので、座りながらのリクライニングもしにくかった。

総合評価

photo_2.jpg絶対的なブランド力を持つワゴンRが理想型に進化した感じ。先代のワイドは試乗したときに、さほどいい印象がなかったが、今回はちょっと違う。ボディはしっかりしているし、乗り心地も悪くない。高速でも良く走るし、数日使ってみて、日常的に実に使い勝手がいいのが良くわかった。ヴィッツと比較すると、今っぽさでヴィッツだが、総合的なシティコミューターとしてのできではワゴンRが上。また他車のワイド軽はいかにも軽の拡大版だが、コレにはそんな雰囲気がないし、ブランドが立っている。小さいクルマを買ったといって自慢できるのはヴィッツかこのクルマだけでしょう。

 

公式サイトhttp://www.suzuki.co.jp/dom4/index.html

 
 
 
 
 

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