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ラストチャンス! 今こそスバルの軽を買え!

カテゴリ:コラム / 2008年10月29日

 
 

富士重が「軽」の生産から撤退!

2008年4月、「富士重(スバル)が軽自動車の生産から撤退」という衝撃のニュースが全国を走った。名車スバル360から現行モデルに至るまで、独自のメカニズムや設計思想を守ってきたスバルの軽が、ついに消えてしまう。

名車「スバル360」からの輝かしい歴史に幕


スバル360(1958年)は軽自動車にして、スバル初の市販乗用車でもあった。航空力学を応用したデザインは今見ても新鮮だ

この話はそもそも2005年にトヨタが富士重の筆頭株主になった時点で予想されたこと。言うまでもなくトヨタ傘下には現在、軽販売ナンバー1のダイハツがあるからだ。2008年4月に発表された業務提携の内容によれば、スバルの軽は2009年後半から順次ダイハツのOEM車、つまりダイハツの軽にスバルバッジを付けたものに切り替わり、そこで浮いた開発や生産面でのリソースを、富士重はレガシィなどの主力乗用車やトヨタと共同開発する水平対向エンジン搭載の新型スポーツカーに振り分けるという。「餅は餅屋、お互い得な分野で頑張ろう」というわけだが、「ムダは許さない」というビジネスライクなシビアさも感じさせる。


軽自動車ばなれした重厚な走りが特長のR2。その車名はスバル360の後継車の名を復活させたもの

しかしスバル初の乗用車であり、「日本のモータリゼーションはここから始まった」とも言われる日本の名車「スバル360」は、その軽自動車である。その元祖スバルの誕生50周年が祝われている今年、スバルから軽が消えるというニュースは何ともさみしい話。この思いはスバリスト(スバル車のファン)ならずとも、クルマ好きならみな同じだろう。

名機「隼」で有名な中島飛行機が前身となる富士重工業はスバル360以降、技術至上主義とまで言われた先進的なメカニズムを究極の大衆車である軽自動車にも与えてきた。飛行機の技術を応用したスバル360の軽量モノコックボディは当時世界の最先端を行くものだったし、高コストの4輪独立サスペンション(今や普通車でも200万円を越えないと採用されにくい)は、その後も連綿とスバルの全軽自動車に与え続けられた。


スバル360譲りのRR駆動を受け継ぐサンバー

特に商用車サンバーが現在では特筆すべき1台といえる。1961年に登場して以来、スバル360譲りのRR(リアエンジン・リア駆動)を継承し続けていることから、「農道のポルシェ」とも呼ばれるサンバーだが、空荷でもリアに荷重がかかることに起因するその走破性の高さは、みかん農家から「サンバーがなくなったら坂が上れない」と不安の声が上がっているほど。変わらぬメカへの信頼性も絶大で、運送の「赤帽」のみならず、全国津々浦々の「プロ」から支持されて続けている。ホンダの「カブ」にも通じるメイドインジャパンの良心といえるだろう。


2+2のスタイリッシュなクーペのR1

現在スバルの軽は、2ドアクーペのR1、4ドアのR2とプレオ、トールワゴンのステラ、そしてサンバーの5車種。どれも4輪独立サスペンションと4気筒エンジンという、他の軽にはない、一部リッタカーをも凌駕するスペックを備える。

デザインが今ひとつだったり、まじめで独自の物作りがうまく伝わらなかったりで、販売面では苦労続きの現行軽モデルだが、それもこれもスバルらしい生真面目さゆえ。とはいえ理想主義的な製品が消えて行くのは、効率や利益を求める世の常。スクラップ&ビルドを繰り返して成長してきた日本経済もそろそろ限界、という論調が出始めている中で、貴重な工業製品の伝統がまたひとつ消えようとしている。

(「レジャーニューズ」 2008年9月16日掲載)