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東京モーターショー開幕

カテゴリ:イベント・フェア / 2009年10月23日

 
 

第41回 東京モーターショーが2009年10月21日と22日、報道関係者向けに公開された。一般公開は10月23日(金)~11月4日(水)。

今年は国産メーカーが中心


トヨタ 「FT-86 コンセプト」

隔年開催の東京モーターショーだが、今年は世界不況や日本市場の魅力低下などから海外メーカーの大半が出展を見送り、出展社数は前回(2007年)の約240社から半分以下の約110社に減少。約1500社が出展した4月の上海モーターショー、約780社だった9月のフランクフルトショー(IAA)に比べると、大幅に規模の小さいものとなった。

 

ホンダの「EV-モンパル」と「EV-N」

それでも国産メーカーは約20台、2輪車を含めれば約40台のワールドプレミアモデルを発表。多くは最近のトレンド通り、EV(電気自動車)やハイブリッド車などのコンセプトモデルや市販を前提としたモデルとなっている。

レクサス LFAが今年の目玉


レクサス LFA

環境性能を訴えるクルマが多い中、華やかなスポーツモデルでショーを盛り上げたのがトヨタ/レクサスブースだ。中でも目玉はレクサスの超高級・高性能スポーツカー「LFA」(市販バージョン)。ヤマハ発動機製4.8リッターV10エンジン(560ps)をフロントに搭載し、6速セミATミッションをリアに搭載(トランスアクスル化)するFRモデルだが、従来のコンセプトモデルよりカッコ良くなっていたのが嬉しいところ。重量配分の適正化のためラジエイターをリアに搭載し、ボディサイドのインテークで冷却する設計も独特だ。

 

フロントエンジンなのになぜサイドにインテークが?と思った人は鋭い。ラジエイターがリア配置なのだ

会場のモニターにはサーキットでのデモ走行の様子が映し出されていたが、そのF1チックなエンジンサウンドはヤマハ(楽器の方)によるチューニングだという。ボディはすべてCFRP製で、エンジンと共にそのほとんどはハンドメイドだ。価格は3750万円で、発売は来年の予定。世界限定500台となる。

トヨタからは「FT-86 コンセプト」


ある意味LFA以上に期待の大きい「FT-86 コンセプト」

トヨタブースの注目車は、スバルの水平対向2リッター4気筒エンジンを積む軽量FRスポーツの「FT-86 コンセプト」。FTとは富士重工(F)とトヨタ(T)ではなく、「フューチャー トヨタ(Future Toyota)」の意味で、往年の人気車ハチロク(AE86)のような小型FRスポーツを目指した、というコンセプトだが、世界同時不況の余波で開発がストップした影響か、デザインやイメージ作りなど全体の生煮え感は否めないところ。こちらは2011年に発売予定だ。

ホンダはCR-ZやEVカブ、CB1100など盛りだくさん


インサイトのスポーツバージョンとも言える「CR-Z」は来年2月に発売予定

トヨタと並んで元気だったのがホンダ。来年2月に発売予定のスポーツハイブリッド「CR-Z」は、まさにかつてのCR-Xを彷彿とさせる“サイバーな”カッコ良さで、しかも6MT!も設定。硬派なホンダファンから、今の若い人の心まで捉えそうだ。また往年のN360をデザインモチーフとしたマイクロEVコンセプト「EV-N」にも、分かりやすい魅力がある。

 

国内向け2輪車としては久々の話題車「CB1100」。おそらくヒットするはず

ざらに2輪があるのもホンダの強み。電動バイクコンセプトの「EV-Cub」のほか、2輪車全体の目玉ともなったのが、市販予定車「CB1100」だ。国産リッターバイクで久々となる新開発の「空冷」直列4気筒エンジンは、冷却フィンの造形が美しく、かなり魅力的。かつて日本製バイクの象徴でもあった空冷4気筒エンジンの復活は、騒音・排ガス規制や都市部での駐車取締りなどで厳しいバッシングにあえぐ国内の2輪業界にとって、久々に明るい材料と言える。

 

V4エンジンの「VFR1200F」。写真はオプションのケース類を装着した状態

ホンダのバイクは他に、クルーザータイプのVT1300シリーズ(一部市販車)のほか、市販予定車の新型スポーツツアラー「VFR1200F」を出展。注目は2輪車で世界初のDCT(デュアル クラッチトランスミッション)仕様を設定することだ。4輪より早く2輪にDCTを採用するあたりがホンダらしい!?

元気なダイハツ、エコを目指す日産


「デカデカ」の観音開きドアは市販ダイハツ車の90度を超える135度まで開く

相変わらず元気なのがダイハツだ。ステージ上に置かれた3台の軽自動車コンセプトは、斬新なアイディアこそないが、現実的で楽しいもの。市販モデルのシャシーをベースにマイクロカー仕立てとした「e:S(イース)」、室内をリビング風にした「Deca Deca(デカデカ)」、ピックアップトラック風のオープン4シーター「basket(バスケット)」など、その気になればすぐにでも市販できそうな?モデルだ。

 
 

“地上のグライダー”を名乗る2人乗りEV「ランドグライダー」

日産は来年発売予定のEV 「リーフ」を展示する一方、タンデム2人乗りでオートバイのように車体を傾けてコーナリングする超軽量EV「ランドグライダー」等のコンセプトカーを出展。また新型シーマもそのハイブリッド版を含めて展示された。GT-RのVスペックや発売直後のフェアレディZロードスターも出展されたが、GT-Rデビューで湧いた2年前と異なり、日産ブースは基本的にはエコ方向にシフトした内容だ。

スズキは新型アルトを中心にアピール。三菱はi-MiEVカーゴに注目


スズキ アルト コンセプト

スズキは同社らしく堅実な雰囲気。事実上の市販予定車である「アルト コンセプト」を中心としたブースデザインだが、一番奥には国際戦略車の新型セダン「キザシ」や「スイフト プラグイン・ハイブリッド」を展示している。

 

i-MiEV カーゴは商用車として案外売れそう

三菱はi-MiEVを中心としたブース内容だが、後部を荷室にした「i-MiEV カーゴ」はスタイリングの楽しい一台。あくまで外観デザインスタディということで、カーゴ内の作り込みはされていないが、ぜひ市販化して欲しいモデルだ。

マツダ、スバルは雌伏の時


マツダで恒例の和名コンセプトカーは「清(きよら)」。パワートレインは直噴ガソリンで、10・15モード燃費 32km/Lをうたう

マツダとスバルはコンセプトカー1台と市販車を中心とした展示。マツダは環境性能の高い次世代エンジン、スバルはレガシィB4ベースのスーパーGT車両を展示していたくらいで、ショーならではの見物は少ない。今は雌伏の時というところか。

ヤマハは電動バイクからV10エンジンまで


ヤマハはトヨタに供給したLFA用エンジンを展示

国内2輪メーカーはホンダ、スズキの他、ヤマハが出展。新型VMAXやインジェクション化されたSR400、電動自転車コンセプトのほか、トヨタに供給するLFA用のV10エンジンやそのプロトタイプ(レース仕様)を展示する。

国内4メーカーの一角であるカワサキは今回欠席したが、向かいのブースでは代わりに?ハーレーダビッドソン&ビューエルが気を吐く。ただし約一週間前の10月15日、ハーレー傘下にあるビューエルが開発・生産を終了するとアナウンスしたことはファンにとって気になるニュースだ。

輸入車はロータス、ケイターハムの英国ライト系


ロータスの新型エヴォーラ

輸入車勢は今回、ロータス、ケイターハム、アルピナといった小規模メーカーのわずか3ブランドに留まった。中でもロータスはトヨタ製3.5リッターV6をミッドに積む新型2+2クーペ、「エヴォーラ」を展示する。

デイズのコメント

クルマも日本も変わらざるを得ない、と再認識させられたショー


トヨタ プリウス プラグインハイブリッド

▼すっかり地味な印象になってしまった東京モーターショーだが、自動車が誕生100年を経て、いよいよ「チェンジ!」の時を迎えていることを実感させてくれるという意味で、とてもエポックメイキング?なショーだ。輸入車がほとんど出展されていないことが象徴するように、クルマに過大な夢を持たせる展示はほとんどなく、クルマが生き残っていくための方向性を示そうとする各メーカーの「大まじめなクルマ」ばかりが並ぶ。

 

日産 リーフ

▼トヨタのプリウスプラグインハイブリッドはいわば市販車の改造車といえよう。新しい電池さえあれば、すぐにでもできる仕掛けであり、旧プリウスのプラグインハイブリッド化にアメリカのベンチャー企業がチャレンジしている事例があるほど。キーはリチウムイオン電池をどう安定供給できるかだろう。

 

日産 リーフのリチウムイオンバッテリー

それは日産の量産型EVである「リーフ」も同様。10年前でもEVは走る止まる曲がるという基本性能に不満はなかったが、唯一航続距離だけが辛かったもの。だが、リーフはそれをリチウムイオン電池でフォローしている。実用になる電気自動車がついに登場したといえるのだが、価格の高さはいかんともしがたいはず。

 

スイフト プラグイン・ハイブリッド

▼それらより注目したいのはスズキの「スイフト プラグインハイブリッド」だ。こちらはエンジンで電気を発電してモーターだけで走るという、他社ではあまり実用化が考えられていないシリーズ式のハイブリッド車。最近走っている路線バスなどのバイブリッド車はこの方式で、すでに多くの電動バスが街を走り回っている。EVとしては20kmほどしか走れない代わりに、660ccエンジンを始動させればどこまででも走れるのだから実用性は十分。またその構造上、安く作れそうなのが嬉しいところ。クルマは購入価格とランニングコストで経済性を考慮するものだから、ランニングコスト(燃料代)ばかりが安くても仕方ないと思う。

 

アイシンブースに展示されたLFAのトランスアクスル

▼「夢のクルマ部門」はレクサスLFAだけといってもいいが、ヤマハブースではそのV10エンジンが、アイシンブースではミッションが展示されていたのは、なかなか興味深かった。そうした各社の夢の結実がわずか500台というのは、どう考えても残念。とはいえ好況時の企画物にもかかわらず大不況の今年出展がなされたことに関しては、トヨタのがんばりを支持したいところ。

ただ、クルマ好き期待のFRスポーツである「FT-86 コンセプト」に関しては、「欲しいのはこういうクルマじゃない」という走り屋の声があがりそうだ。

 

ダイハツ バスケット

▼前後タンデムで乗車する日産のランドグライダーは、ガソリンエンジンで実用化して欲しいコンセプト。「こういう軽自動車があれば」と思っていたクルマそのものと言っていい。

一方、ダイハツでは軽のモバイルオフィス「デカデカ」やカントリートラック風の「バスケット」をすぐにでも実用化して欲しいもの。特に軽のピックアップトラックは、以前スズキがラパンベースで毎回のようにショー出展していたが、結局実現していない。また異様なまでな存在感と格好良さのある三菱 iMiEV カーゴも、ガソリン車でいいのですぐ出して欲しいものだ。


ホンダの新型スーパーカブ 110とカセットガスを使う発電機「エネポ」(市販予定)

▼何より今回力が入っているように感じられたのはホンダ。「ないものはつくれ」(今回のホンダブースのキャッチコピー)という精神が生み出した様々な新製品をASIMOがプレゼンテーションするステージショーには、ちょっと胸が熱くなった。ハイブリッド車やEVの2輪・4輪はもちろん、市販のガスボンベで動かすエンジン式発電機や、ASIMOの技術から生まれた一輪車など、おもしろ製品がいっぱい。もしかすると来るかもしれない明るい未来をトータルでプロデュースしつつ、少しずつ市販できる商品にしているという点が素晴らしい。またCR-Zはクルマ好きが素直にカッコいい、欲しいと思えるハイブリッド車だ。

 

スバル ハイブリッド ツアラー コンセプト

▼最後に、プレスデーにアジア系外国人が大変少なくなっていたことについて。輸入車の出展がないことを含め、これによってアジアの中心が日本から中国に移ったことを再認識せざるを得なかった。日本の国力低下は相当に深刻。今のところはクルマに限って、なのかもしれないが、やがて他の分野でもそうなりかねない。日本がこれからどうしたらいいか、一度よく考え直してみないと、と思わせてくれるショーだ。皮肉ではなく、その点で意義深い。


(Photo:DAYS)